最終話:青春は終わらず





退院はしたが、体力はまだ全回復してなかった。貧血状態だったので少し歩くとすぐに疲れた。また、検査のため2週間に1回は通院して検査する必要があったので病院と縁が切れたわけではなかった。
大学に行ったのは5月1日だった。体が本調子ではないので、GW明けにしようかとも思ったが、やはり授業が始まっているので心配だった。これが正解で、GW明けだと必修科目を落としていたので留年してしまうところだった。
久々に友人にも会った。皆、これまで僕が姿を現さなかったのでインドで死んだと思っていたらしい。いや、死にかけたけど死んでない。病気になって隔離病棟に入れられていたと話すと爆笑だった。僕の命がけの戦いも他人からすれば笑い話だった。まあそうだよな。一応一緒になって笑ってた。

こうして無事日常生活に復帰できた。体力もそのあと急回復して、3ヶ月ぐらいでほぼ全快した。当初はもう海外は2度と御免と思っていたが、喉元過ぎれば熱さを忘れるだった。
健康を取り戻した僕は、その年の夏休みに懲りずにタイへ海外旅行に出かけた。そしてパスポートを盗まれひどい目にあった。

若い僕が慎重になるには、まだまだ時間が必要だった。

(完)

【13年後のつぶやき】
これで「僕」の話はお終い。この話は無謀な若者が勢い任せでインドに行ったらこうなるという一例だ。こうならないようにインドに行く皆さんは特に健康管理に気をつけて欲しい。

旅は途中で終わってしまい、失敗と言えば失敗なのだが、、望み通り冒険は出来たし、困難に打ち勝つという修行は達成できた。そしてインドでしか経験できないことを経験できたし、しかもインドに行く前に貪り読んだインド旅行記の数々より過激度は上だ。普通じゃ出来ない経験が出来たことは間違いない。友人たちのように日本でのんびり春休みを過ごしているよりは有意義?な体験だったと思っている。
青春の傷跡は勲章だ。ひどい目にあったが、今でもあの頃インドに行ったことは後悔していない。

最後に、今は慎重になりすぎて冒険ができなくなった。あの頃は無謀なバカだったが、それを懐かしく思う。

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