3月24-日:死への恐怖





僕は自分の病名を知らされてなかった。入院してだいぶ経つし、検査結果も出ているはずだ。しかし、医者に何度も頼んだのだが、僕の英語力からして言っても理解できないとでも思ったのだろうか。それとも知っても仕方ないと思ったのだろうか。とにかく退院するときまで教えてくれなかった。

僕の体調は少しも良くなってなかった。病状は、発熱、体のダルさ、下痢などである。熱は体温計が華氏(°F)だったのでわかりにくかったが、100°F(37.8℃)以上はあった。特に夜は高熱が出てつらかった。下痢は相変わらず変な粘液が大量に出ていた。しかし、一番きつかったのは体のダルさだ。体をすこし起こすだけでしんどかった。魂が半分自分の体から抜けだしたような状態だった。
普通の病気ではないことは明らかだった。このまま衰弱して死ぬんじゃないかとずっと怯えていた。
病名が分かっても病気が治るわけではないのだが、病名が分からないと、これは死ぬ病気なんじゃないかと思い込み、ドンドン不安になる。

毎朝、目が覚めた時に自分の体調をチェックした。もしかして、治ってないかな…。しかし、奇跡は起きなかった。寝ても起きても病状は変わらなかった。いや、少しずつ悪くなっていたかもしれない。いつのまにか僕は激ヤセしていた。手足がやせ細って関節の膨らみだけが目立つようになっていた。太ももも筋肉が落ちてえぐれたようになっていた。おかしくなるほど僕の体は変形していた。

ある日、僕は幻覚をみた。親父がベッドの前に立っている。助けに来てくれたのかと思ったが、幻覚は一瞬で消えた。
死への恐怖から頭の方もおかしくなっていった。

【13年後のつぶやき】
やはり病名が分からないのがつらかった。それがどんなに悪い病気でも、戦う相手がわかれば気持ちの張りができたはずなのだが。


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