4月後半:回復しても外出できず
4月も後半に入るとようやく熱も引いてきた。下痢も体のダルさもマシになってきた。
しかし、僕は法定伝染病患者だから外出できなかった。病室は暇で仕方ない。テレビがあったのでプレステを持ってきてもらったり、雑誌を差し入れてもらったりして暇つぶししたが、ずっと同じ部屋にいることは若い僕には大きなストレスだった。
また、インドでの日々、特に病院での出来事についてずっと考えていた。あれは金目当ての犯罪事件か、それとも僕の勘違いか。
ところで、4月中旬には大学の授業が始まっているので僕は焦っていた。入院が長引くと留年してしまう。はやく退院したかったが、検査の結果まだ菌は残っていたので無理だった。
体調は日ごとに快方に向かっていたが、困ったことも起きていた。
ある日、見舞いに来た人から言われた。
「さっきから同じ事ばかり話してるよ」
どうやら頭の方が変になってたらしい。21歳で人生終わったなと思った。
25日になると菌が検出されなくなったので部屋から出ていいと許可が降りた。病院の中だけだが、久しぶりに自由を実感した。
退院できたのは27日になってからだった。体重は55kgまで戻っていた。
【13年後のつぶやき】
2ヶ月もの間、ずっと病気だったがようやく健康状態に戻って、そのありがたみを十分に感じた。
頭の後遺症は退院する頃にはおさまっていた。
ところで、法定伝染病って入院費が無料ということはあまり知られていない。まあ、海外旅行保険をかけていたのでどちらにせよ金はかからなかった。
インドでの入院費も、あの不可解なドクターチャージとやらも全部保険でまかなえた。それどころか、入院保険金が結構もらえたので50万円ほど儲った。40日間普通にバイトするより稼げた。いやー腸チフスは儲かるわ(笑)。この金は主に大学の授業料として使った。あと掃除機と電子レンジも買った。