ガイドブックの是非
俺がインドの寝台電車の中で出会った韓国人旅行者2人組はすごかった。彼らは地図もガイドブックも持たずに旅をしているのだそうな。必要な情報は人から訊いて仕入れているのだろう。俺も色々と質問された。
このタイプの旅行者は時々いるが、かなりの上級者かインドをナメているかのどちらかだ(彼らは数ヶ月間インド旅行を続けている上級者だった)。
ガイドブックを持って行かないメリットとしては、どこに行くにも先入観がないので、発見が多いことがまず挙げられる。また、ガイドブックに縛られない、自由な旅行ができるので人とは違った体験ができるだろう。
そして、色々人に訊く必要があるので、多くの人と接することができる。また、ガイドブックには載ってないような貴重な情報を得ることもできるかもしれない。
以上のように様々な面でありきたりの旅にはならないだろう。
デメリットとして、旅行の効率が悪くなることは間違いない。ガイドブックに載っている情報を自分で集めようとすると時間がかかる。地図があればすぐわかるのに、自分の勘で歩けば遠回りしてしまうことも多いだろう。
そして、人に色々訊く必要があるから、語学力というかコミュニケーション能力が要求される。インド人は適当な事をいう人が多いので、嘘の情報を教えられて騙された気分になることもあるだろう。
また、「地球の歩き方」にはトラブルの例が数多く載っているが(ボッタクリ旅行会社での被害など)も事前に知らないと引っかかる可能性が高まるはずだ。
旅慣れてない人が地図もガイドブックも持たずにインドに来ると、早くもデリーでリタイアするかもしれない。電車のチケットのとり方がわからず、旅行会社に依頼したらそこは悪徳会社、高額なツアーを組まされて身ぐるみ剥がされたとかいう話はよくある。
一方、俺は常に「地球の歩き方」を参考にしていた。街を歩くにもホテルに泊まるにも、歩き方は必須だった。電車も現地で購入した時刻表で調べてから切符を取っていた。それが一番確実だからだ。語学にも自信がなかったので、人に訊くより本で調べるほうが好きだった。
2回目の旅行はこのスタイルで効率良くインド各地を回れたし、大きなトラブルにも遭わなかった。
歩き方には助けられたが反面、本に載ってることを、ただなぞっただけの旅行になったのかもしれない。それも旅行ではあるが、少なくとも冒険ではなかった。そのせいでワクワクドキドキが少なくなったことは否定出来ない。
どちらのタイプにもメリットデメリットはあるが、俺としてはマニュアル君といわれてもやっぱりガイドブックは必須だ。俺はもうオッサンだから躊躇なく冒険より安全と効率を選ぶ。