12月22日:オカマ物乞い騒動
7時頃起床。昨夜はなかなか寝付けなかった。夜も途中まで暑かったが、いつの間にか寒くなり、完全武装で寝た。さらに、蚊に20箇所以上刺されまくって非常に痒い。さすがノーマル寝台車、まったく快適ではない。
それにしても、定員外(無銭乗車?)の奴が多すぎる。ここは全席指定なので、本来寝台で寝れない奴はいないはずだが、実際はひとつの寝台で2人で寝る奴や、床で寝る奴が多数いる。正にカオス状態だが、それを許容する社会もなかなか懐が深い。日本だったら切符を持ってなかったらかなり厳しい追求を受けて追い出されるだろう。
しかし、床で寝ている人とかも、普通に携帯とか持ってるし、それほど貧乏に見えないし、仕方なくというより節約のためなのかもしれない。
あと、エアコン付き車両との違いは、乗客に子供が多い点がある。ノーマル寝台車は家族連れが多く、子連れが多い。子供は絶対切符を持ってないので、3人がけの椅子に大人3人子供2人ぐらいで座っていることが非常に多い。寝るときも親と一緒の寝台で寝ている。
そして、理解できないのが、音楽。日本だと電車で音楽を聞くときイヤホンを使うが、ここでは普通に自分のモバイルで大音量で音楽を流す。もちろん他の人にも聞こえるわけで、社内にはインド音楽が鳴り響いでいる。本人的には親切でやってるのかもしれないが、はっきり言ってうるさい。
以上のように、ノーマル寝台車には、キツイ点がいくつもあるのだが、反面退屈しない。このめちゃくちゃっぷりはインドそのものをよく体現している。
様々な矛盾を内包しながらも電車は前に進んでいく。なかなか定刻通りには着かないけど、それでもいつかは目的地に到着する。それがインド社会だと思う。
写真:車内の様子
さて、この日は昼間は椅子に座って外の風景を見つつも、周囲のインド人を観察していた。正規の乗客じゃない奴も堂々と椅子に座っているが、周囲の人もそれを気にする風でもなく、席を詰めている。俺の座席は韓国人2人組との3人なわけだが、なぜか、インド人のオッサンがプラス1人されて4人になってるし。まあ、オモロイからいいけど。
昼飯はエッグカレー。食べにくいのでズボンにこぼした。
3時ぐらいになると疲れてきたので上の寝台に登った。
しばらくすると、オカマの物乞いがやってきた。これまで何度か出くわしたが、奴らはタチが悪い。普通の物乞いなら無視すればすぐに立ち去るが、こいつらは人の頭をなでたりして、なかなか立ち去ろうとしない。こいつらには特徴があって、やってくるとき注意を引くため手を叩く。
この時も、遠くから手を叩く音が聞こえたので、俺は警戒して寝台の奥のほうへ引っ込んだ。
そして、ほどなくして、奴が俺たちの寝台にやってきた。このオッサン、黒い顔に白粉を中途半端に塗りたくって非常に気味が悪い。インド人も韓国人も完全無視。俺も無視したが、こいつ、なかなか立ち去らず、しかも俺の股間を触ってきた。人生初のホモセクハラの被害にあった…。もう、本当に鬱陶しい。
でも数分してようやく次の寝台に移動した。
ホッとしていると隣がやけに騒がしい。
奴が数人の若者に取り囲まれて、激しく詰問されている。何を言っているのかわからないが、多分このオッサン、やりすぎて不興を買ったのだろう。周囲の乗客全てから白い目で見られていた。しばらくするといなくなったが次の駅で降ろされたに違いない。
それからは何もなかった。晩飯は隣の韓国人からもらったバナナ一本だった。
10時前に消灯したので眠くないけど寝た。しかし、2時頃寒さで目が覚めた。ジャンパーを着て、ズボンを2枚履いているが、それでも寒い。朝までまだ時間があるし、更に寒くなるだろう。俺は大した防寒具を持ってきてないが、リュックの中を漁ってみた。とりあえず、これまで使ってなかったが半ズボンを上から履いてみた。そして、これまた使ってなかったレインコートを羽織ってみた。これで少しは暖かくなって、なんとかギリギリ寝れた。
写真:寝台車で寝てる人々。毛布がないとキツイ。