12月4日:いきなりインドの洗礼
朝6時頃、税関を出た。しかし、まだ外は暗かったのでしばらく到着ロビーの椅子に座ってTVを見ていた。7時前になってようやく明るくなってきたので空港を出た。いよいよ冒険の始まりだ。気持ちも良い感じに高ぶってきた。
空港からニューデリー駅まで、メトロで行こうと考えていた。安い、早い、安全とこれ以上ない選択肢だ。空港を出て、道路を渡った所に駅はあったが、閉まっている。まだ始発がでてないのかと思って1時間ほど待ってみたが、それでも閉まっている。仕方ないので別の手段で行く事にした。といっても選択肢はタクシーとバスしかない。空港のタクシーは高いし、良い話を聞かないのでバスを選んだ。地球の歩き方によれば、18番のところのバスが市内行きらしいので、そこまで行って一応周囲のおっちゃんに訊いたらそのとおりだったのでバスに乗り込んだ。コンノートプレイスまでRs75だった。残念ながらニューデリー駅までは行かない。
バスの窓から見えるニューデリーの街は朝日に照らされ、汚いけど輝いていた。
1時間足らずでコンノートプレイスにたどりついた。ここからメインバザールあるいはニューデリー駅まで歩いていくつもりだった。距離的には十分可能だが、歩き方の地図を見てもイマイチどの道を行けばいいのかわからない。インドの道路は日本みたいに行き先や道路名の立て札があまりないので、よくわからなかった。
しばらく、コンノートプレイスをウロウロしていたらリキシャーのおっさんに声をかけられた。
「どこに行くんだ?どこからきたの?インド門に観光に行かないか?」
でた、久々のリキシャーの営業トーク。リキシャ―に乗るつもりはなかったので、適当にあしらったのだが、少し離れたとこから後をつけてきた。しつこい。絶対にこいつ悪いやつだ。変な旅行会社につれていくつもりに違いない。事前に調べたところコンノートプレイスは悪徳旅行会社の巣窟らしい。しばらくして、もう一度話しかけてきたが、これも拒絶した。ちょっと面倒くさくなってきたの時、ちょうどそこに地下鉄の駅の入り口があったので、地下鉄でニューデリー駅まで行く事にした。
ニューデリー駅にはあっという間に着いた。メトロすごい。13年前はこんなのなかったし、随分と便利になったものだ。
さて、メトロのニューデリー駅から向かうのは外人用鉄道の予約オフィスだ。ニューデリー駅の2階になるのだがメトロの駅から少し歩いた。8時半に予約オフィスに到着。8時にオープンなのだが、既にかなり混んでいた。客は7割が白人だった。たどり着いたはいいが、どうやって切符を買うのかシステムがわからない。しかし、冷静に観察して、予約フォームの紙があったので、それに希望を書いて、列の最後尾に並べばいいことがわかった。混雑していたので、どこが最後尾かわからなかったので何人かの白人に聞いて回った。
ところで、電車の切符の買い方は、駅ごとに違っていて戸惑うことが多いので、別ページに切符の買い方をまとめた。
さて、1時間半ぐらい待って、ようやく自分の番が回ってきた。
俺はその日の内にコルカタに行きたかった。デリーは最後にまた戻ってくるし、長居はしたくなかった。
しかし、残念なことに、ニューデリー→コルカタ間の電車は4日先まで満員だと売り場のおじさんに言われた。俺にとっては予想外の事態で、どうしていいのかわからず戸惑った。代案として、ムンバイ行きの電車も聞いてみたが同じく満席だそうな。下手な英語でじゃあ俺はどうすればいいんだと喚いたが、どうにもならなかった。
困って考えている内におじさんが別のことをやりだし、早く帰れオーラを感じたので、とりあえず退散することにした。
売り場から離れて、ソファーに座って代案をゆっくり考えた。さすがにデリーで4日も待てない。他の交通機関と言えば飛行機しか思い浮かばない。なので、しかたないので飛行機でコルカタに行く事にした。
これはあとで気付いたことだが、この時他にも選択肢はあった。俺はチケットを買うときラージダニーエキスプレスという全席エアコン付きの特急列車を指定したが、これがよくなかった。デリーコルカタ間には他にも急行列車が多数運行しており、そちらを調べてもらうべきだった。もし、寝台車の予約がとれなくても、最悪予約不要の2等車で行く事も出来た。
まず、俺は駅で電車の時刻表の本を手に入れるべきだった(Trains At A Glance,RS35)。これは大きな駅の本屋コーナで手に入る。まずはこれを購入して、切符を買う前にじっくりとプランを練るべきだった。そうすればとっさに代案も出たはずだが、後の祭だ。
それはともかく、飛行機のチケットを買おうと思ったが直接航空会社のオフィスに行くのも気が重いので、旅行代理店を利用することにした。選んだのは地球の歩き方にも載ってる、ロニさんという日本語が話せるインド人が経営しているロニトラベルだ。メインバザールにあるアジャイゲストハウスの1階にある。
ロニさんは非常に愛想のいい人で、気軽に相談できた。飛行機のチケットもすぐに手配できた。
しかし、思いの外、チケットは高かった。Rs12000程度だった。電車の料金は日本と比べるとかなり安いが、飛行機は同程度のようだ。
ところで、ロニさん、良い人なのだが、彼のところで両替したら1万円がRs6100だったが、近所の両替所ではRs6400だったわけで、結構レートが悪い。また、送迎タクシーも頼んだが、これもRs400と相場よりRs100ほど高い。まあ、日本語話せる分、料金が上乗せされているのだろう。しかしまあ、特に英語に自身のない人は彼を頼ってみても良いだろう。
飛行機は明日の便なので、今日はデリーに一泊することにし、宿探しも面倒くさいのでそのままアジャイゲストハウスに泊まることにした。Rs700。部屋は割と綺麗で一応ホットシャワーも出る。TVもあったがつかなかった。エアコンもついていたが必要なかった。まあ、中の下というクラスのホテルだが、音がウルサイのが大幅な減点だった。耳栓持ってこれば良かったと思った。
しかしまあ、宿が決まるとホッとする。荷物をおいて身軽になってメインバザールを散歩してみた。それにしても、スゴイ数の人、リキシャー、犬、バイク、その他諸々が通りを流れている。気を抜いたらバイクにハネられそうになるので気が抜けない。しかし、少し歩いて気になったのだが、牛がいない。インドと言ったら野良牛だろうという印象だったが、これが13年前と決定的に違った。あの頃はメインバザールに牛がいっぱいいて、それが糞をするものだから臭かった。今は昔と比べて少し綺麗になったのではなかろうか。
写真:ホテルの屋上から見たメインバザール
ブラブラしている内に昼飯時になったので、歩き方に載ってる少し良い店に行ってきた。グリーンチリという多分外人向けの店だ。ここで1回目の旅行で食べることが出来なかったタンドゥーリチキン(ハーフ)を食べた。うん、うまい。でも、インドって鳥の皮は使わないからちょっとパサパサしてる。Rs120というのはインドの感覚では安くはないはずだが、これが180円とは日本人感覚では安いと思う。あとチキンチョプシーというインド中華を食べたがこちらはイマイチ(Rs140)。でも腹は膨れた。
写真:タンドゥーリチキン
その後は部屋に戻ってホット(ウォーム?)シャワーを浴びた。これが本当の安宿なら水シャワーだが、助かった。この時期のデリーは思ったより涼しかった。そして2時間ほど昼寝。昨晩はまともに寝てないから疲れていた。
起きて、次のミッションは駅に電車の時刻表を買いに行く事。駅前の怪しい客引きを適当にあしらって、駅中に侵入。駅のホームのブックストールで、Do you have railway timetable?と聞いたら、目当ての時刻表の本を出してくれた。これで目的完了。
その後は晩飯。ノンベジターリ―だ。一応解説すると、ターリーとはカレー定食のようなもので、数種類のカレーとライスとチャパティーのセットである。ノンベジとはnone vegetalianのことで要は肉だ。大抵はチキンカレーがついてくる。この店ではRs120とやや高いが、概ねRs100程度の店が多い。一食で腹一杯になるので、俺はインド滞在中にはよくターリ―を注文した。
写真:ノンベジターリー
晩飯後は部屋に戻って、次の計画をたてたり、日記を書いたりして過ごした。
これでようやく一日が終わり。この分量を見てわかると思うが、実に色々なことがあった中身の濃い一日だった。
実は俺は日本でも日記を書いているがこんな感じだ。
「今日は寒いので外出しなかった。7時まで仕事をして酒のんで寝た。」
大体1行か2行ぐらいの短さだが、それに比べて、インドでの一日は遥かに充実している。
日本出発前はイマイチ気分が乗らかなったが、いざインドに来てみるとかなりヤル気がでてきた。
来て良かった?いやいや、それを判断するにはまだ早い(笑)。